III-2 メトロマニラ大気改善プログラム・ローン(363億円、1999年3月10日借款契約)
III-2-1 事業の内容
メトロマニラ大気改善計画は、ADBが支援して作成した大気浄化行動計画(車検制度改革、ガソリンの無鉛化、触媒コンバーターの取付け義務化、老朽火力発電所のベースロード発電操業停止等)の実施を支援することを目的としている。この計画に対してADBは3億ドル弱(プログラムローン2億ドル、投資ローン7100万ドル、基金2500万ドル)の支援を行っている。
JBICはこの事業を支援するために、ADBと協調融資を実施している。ローン開始時に全体金額(363億円)の3分の2を支払い、残りの3分の1はフィリピン側のコンディショナリティの達成を確認し、ADBと歩調をあわせて支払いを行うこととなっている。今のところ、8つのコンディショナリティのうち、5つが達成されている。
JBICからの借款の見返り資金は、借款契約では以下の用途に使われることとされている(記載順序は優先順位を示す)。
DOFと予算管理省(DBM)が協議した結果、見返資金は円借款事業のフィリピン側負担分にあてることとなった。メトロマニラ大気改善プログラムについては、ADBからの資金で十分実施することができると判断されたためである。
メトロマニラ大気汚染セクター改善計画において事業実施の中心である環境天然資源賞(DENR)は、これまでにADB投資ローンの約10パーセントしか受け取っていない。これまでは主にパイロット・プロジェクトや大気汚染の観測網の整備を行っていた。現在は事業を続けるための資金が不足しているため、ADBに対して支払条件の変更を申請している。